電線に月の走る

 事務局をしている婦人団体が、結成50周年を迎えたので、
その祝賀会を終えて帰宅。


 平均年齢70歳のおばちゃまがたは、けれども明るく
元気すぎるほどだ。
 孫のような年の私をかわいがってくださる方々の笑顔。
面倒くさいこともあるけれど、今日は素直に感謝。


 帰り道、少しほろ酔いの頭上に向涼の月。
ぴんと張った電線の上をつるつるとすべってゆく。


 顎を上げて見上げた夜空は、久しぶりに美しい。
脳天突き抜けそうな青空も好きだけれども、言葉少なの夜空
もいい。


 ああ、広い世界に私の何と小さきかな。
明日死んだとしても、それは、星が流れるほど、一瞬の出来事に過ぎない
のだから。


 夜空はそこにあり続ける。私は今生きている。それだけのことなのだに。