便り

 突然の便りはうれしい。
先週、堀川久子さんからメールが届いた。
あなたを思い出しています、元気ですか。というような内容だった。
特に用事があるわけではないようで、堀川さんからは、時々こんな
時節の便りが来る。


 堀川さんは舞踏家だ。年の半分はヨーロッパに出て、半分は、実家の
新潟で暮らしている。表現者として強く逞しい女性だ。


 彼女と話していると、とても感覚的だと感じる。場と身体を呼応させて
踊るのだから当たり前なのだけれど、彼女のコミュニケーションは技巧的
ではなく、人と人との共鳴を信じて委ねたような心地よさがある。
言葉少なくけれども豊かな共鳴。彼女が私を思い出している時、きっと
私は彼女を思っているし、その反対もあるのだろう。


 昨年の秋、仕事がらみのイベントで、彼女を長井に呼んで踊ってもらった。
私にとっては、(街並との出会いという意味では彼女にとってもかな)素敵な時間
だった。何かまた創造的なことが一緒にできればと話して別れた。
 それから風が吹くようにメールが届く。あのときの写真をまだ私は送って
いなかった、そういえば。


 近いうちに遊びに行こう。風が吹いたら。堀川さんが踊るのはいつかなあ。

 春風のようにうれしい便り。